後で思い出せるよう観劇メモ

だいたい四季キャッツの観劇メモ。記憶抜けちゃってもったいないから思い出残すため。

劇団四季 思い出を売る男@自由劇場 20191221 マチネ

ひえー。年末年始ぜんぜん記録する暇なくて時間が経ってしまった…!
自由劇場に、思い出を売る男初日観劇してました。1階13列目センター。
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時間が経ちすぎた。。今更感たっぷりの感想。

まずこのお話は戦争の匂いが残っている頃に書かれた終戦直後のものであるということと、その当時の人の絶望や虚無感、そして希望を知っておくとより深く劇にのめり込めるのでは、と思いました。
残念ながら私はそれを知らず、また、この物語の事も深く知らないままに観たので、正しい解釈ができていないような気がします。物語の捉え方なんてその人間がどう感じたかでよいとは分かってるのだけど、勿体無いことをしたかもなあなんて考えながら帰路についた記憶があります。

特に印象に残ったことは、主人公の思い出を売る男が劇中で、戦争で何もかも失って、生きることすら苦しい街の女に対して、過去の幸せな思い出に浸ることで辛さを忘れられる、という趣旨の事をいう場面。それを聞いて『それは現実逃避でただ思い出に逃げているだけでは』とまず思ってしまったのだけど、過去の幸せを何一つ失って生きることすら投げ出してしまう状況から、なんとか明日を「生きる」には、思い出すこと自体そのものが生きる力になるのだろうな、それくらい私では理解する事すらできない深い深い絶望が色濃くあったのだろうな、と感じました。
そのほか、勝者であるはずのアメリカ軍の青年は、異国の地で生きるために、思い出をよすがに歩き始め、思い出す事をこばみ今を生きる浮浪者は社会をはみ出して生きる事で安寧を保つ。思い出を無くしてしまった男の思い出せない思い出など、ひとつの路地裏に人間の生と死が通り過ぎる物語は切なくも美しい。

正直うんと若い頃、それこそ涙に溺れそうになるくらいの経験がない頃みたら、あまり響かなかったような気がします。舞台を観ながら、自分自身に重ね、過ぎ去った幸福な思い出に涙してしまうような。楽しかったとも違う、なんとも形容し難い、けれども胸をうつ作品でした。

主演の思い出を売る男役の近藤さん良かったです。思い出の売る男がなぜ思い出を売ることを生業にきめたのか、その深みを探りたくなるような演技。

またいつか上演されるとき、自分がどう感じるのか興味深い。
観に行って良かったです!